東京都北区・簡易宿所(民泊)問題と区民のアクション

家のすぐ隣に何の相談もなく宿泊施設ができたら、どう感じますか?子どもたちの安全は?深夜の騒音は?

今、まさにこの問題と闘っている北区民がいます。


私は北区選出の都議会議員として、彼らの声を聴き、現場を自分の目で確かめてきました。

(意見交換会にも出席)



2024年の夏、ある住宅街の私道の奥。普通のアパートだと思っていた建物が、ある日突然、簡易宿所として営業を始めました。

事前の丁寧な説明はなく、ただ形式的な通知が投函されただけ。

住民の方は、こう語りました。

「子どもたちを安心して外で遊ばせることができなくなりました。見知らぬ人が常に出入りし、夜も眠れない日があります。」

住民の皆さんは勇気を出して事業者に説明を求めましたが、受け取ったのは冷たい対応だけでした。

そして今、この静かだった住宅街は、日々深まる不安と問題に包まれています。


現地調査で私が直接見聞きした問題は、深刻なものでした。


①利用者・関係者のマナー問題

深夜のキャリーケースが路面を引きずる音。深夜の笑い声。

「火のついたままのタバコが道に捨てられているのを見つけたときは、本当に恐怖を感じました」と、小さなお子さんを持つ母親は語ります。

住宅が密集するこの地域では、火災のリスクは住民にとって現実の脅威なのです。

最も心配なのは子どもたちの安全です。

「見知らぬ人が子どもたちの写真を撮影していた」という証言もあり、登下校時の不安は日に日に大きくなっています。


②事業者の責任放棄

さらに深刻なのは、事業者の対応です。

「何か問題があっても、連絡する相手がいないんです」

保健所の査察で発覚したのは、登録された管理事務所が実態のない「ペーパーカンパニー」だったという衝撃の事実。

緊急時の対応者がおらず、住民の不安と怒りは日々高まるばかりです。


しかし、皆さんは諦めていません。

保護者たちは自主的に登校時の見守り活動を始め、子どもたちの安全を自らの手で守っています。

また、住民が力を合わせて任意団体を設立し、条例制定を求める署名活動を展開。

私はその熱意と行動力に、深く胸を打たれました。



ここで重要なのは、「民泊」と一口に言っても、その種類を正確に理解することです。

民泊には良い点もあります。

空き家・空き部屋対策、地域経済の活性化にもつながります。異文化交流も可能です。

更には、災害など非常時の一時宿泊場所にもなり得るのです。


また、一口に「民泊」と言っても種類があり、該当施設がどの法律に基づいて営業しているかを区別することが重要です。

当該地区で問題視されているのは、「簡易宿所」(旅館業法)と呼ばれるものです。


住宅を活用した短期宿泊サービスの「住宅宿泊事業者」(住宅宿泊事業法)とは異なります。


例えば、北区志茂の民泊施設「ぷらっと末広」。

こちらは、昭和の暮らしをテーマにした「住宅宿泊事業者」です。

地域の人たちと同じ暮らしが経験できる宿泊施設は、「畳の部屋がSuper cool、お隣の銭湯ではリラックスする経験ができた」と海外の方々に高い評価を得ています。

北区の魅力の一つである荒川でのジョギングや散歩、赤羽の個性あふれる飲食店も利用いただき、赤羽地区の経済の活性化にもつながっています。


私たちが目指すべきは、良質な民泊と地域住民が共存できる環境づくりなのです。

そのためには、問題のある施設がどのタイプの宿泊施設なのかを見極め、的確な対策を講じることが不可欠です。



多くの自治体がすでに対策に乗り出しています。

「簡易宿所」に関して、台東区、大阪市、福岡市、那覇市などでは、地域の実情に応じた条例を制定し、住民の生活を守る取り組みが進んでいます。


北区においては、これまでいわゆる民泊については、

①「住宅宿泊事業者」(住宅宿泊事業法)は、ガイドラインの運営により対応してきました。

②「簡易宿所」(旅館業法)は、既に条例化されています。

しかし、②については、前述している通りトラブルが絶えません。

宿泊業に関する相談や宿泊施設数の急増、地域からの意見も増加しているとのことで、この度、北区では①について条例制定が検討されることとなりました。


条例制定にあたっては、パブリックコメントを実施し、広く意見を募集する予定と、2月28日の健康福祉委員会にて報告がありました。

この機会に、皆さんの声を届けることが重要です。


今が重要な転換点です。

北区で大きな問題となっているのは、民泊と呼ばれる中でも「旅館業法」に基づく簡易宿所だと認識しています。

しっかりと対象を捉えた上で、条例制定の際は、地域特有の課題(観光客のマナー、騒音問題、ゴミ処理など)に対応した内容を盛り込むことが効果的と考えており、丁寧に議論を進める必要があります。

複数の報道番組で取り上げられているように、本件は氷山の一角。

この問題は北区だけでなく、全国各地で同様の事例が急増しています。

既存条例についても区民の声に寄り添う内容となるよう求め、注視していきます。

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