ギャンブル依存症は、1970年代後半にWHOによって「病的賭博」として正式に病気と認められました。
ギャンブルを行うと脳内でドーパミンが放出されますが、繰り返すうち脳が鈍感になり、満足できずに際限なく続けてしまう脳の病気です。
また、本人が「自分は依存症ではない」とする「否認の病」としての特徴もあります。
私は、区民・都民の皆さんから寄せられた
「ギャンブル依存症となり金銭的に困窮し窃盗に手を染めてしまった家族がいる」
といった切実な声を受け止め、これまで都に対し対策の強化を求めてまいりました。

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目次
⬛️施設概要
東京グレイスロード
所在地:東京都新宿区西新宿8-5-3 アクセス西新宿9F
事業内容:ギャンブル依存症回復プログラムの提供、相談事業、予防啓発活動
⬛️視察で確認したプログラムの特徴
❶傾聴を重視したアプローチ
回復プログラムの中核として、参加者同士が互いの話を丁寧に聞く「傾聴」を重視していることが印象的でした。
当事者の皆さんの体験談には、胸が締め付けられるような思いになりました。
依存症からの回復には、まず自分の体験を全て吐き出し、それを受け止めてもらう環境が不可欠であることを実感しました。
❷チーム制による1日プログラム
薬物依存症回復施設「ダルク」をモデルにし、参加者は1日を通して、チームのメンバーと共に過ごし、回復プログラムを受けます。別な場所にある宿舎で寝泊まりもしています。

⬛️経済的な課題
プログラムを受けるには、家賃や生活費含めて月額18万円以上の費用がかかりますが、公的な費用負担制度はありません。
当事者や家族にとって大きな負担となり、経済的理由で回復の機会を逃してしまうケースが懸念されます。
⬛️支援にたどり着けない方が多い現状
依存症の問題を抱えていても実際に回復施設にたどり着けるのは、ほんの一握り。
厚生労働省の調査によると、ギャンブル依存症が疑われる人の割合は生涯で3.6%に上り、これは約320万人に相当する規模です。
しかし、そのうち回復支援を受けられている人数は極めて限定的となっています。

⬛️日本のギャンブル依存症
依存症が疑われる人の約8割がパチンコ・パチスロを主要なギャンブルとしており、日本特有の「町のどこにでもパチンコ店がある」環境が影響していると分析されています。
さらに近年は、スマートフォンで簡単に課金できるオンラインギャンブルにより、ギャンブル依存症の低年齢化が進んでいることも深刻な問題となっています。
⬛️相談機関利用まで時間がかかる問題
公的な相談機関を利用した当事者調査では、問題に直面してから相談機関を利用するまでに平均2.9年、
家族が問題に気づいてから相談するまでには平均3.5年かかっていることが判明しています。
相談機関へ早期につながるため、かかりつけ医や地域の相談窓口における依存症に関する理解促進、家族会等の民間団体につながることが重要です。

⬛️都と民間団体の連携強化
都民ファーストの会東京都議団、菅原前都議、私個人としてもこれまで委員会や議会でギャンブル等依存症対策について継続的に取り組みを進めてきました。
その結果、東京都と民間団体との連携が進み始めており、啓発イベントを共に実施するなどの取り組みが行われています。
より包括的な支援体制構築が必要です。

⬛️最後に
東京グレイスロードでの視察を通じて、ギャンブル依存症回復支援の現場における丁寧な取り組みを目の当たりにする一方で、支援体制の根本的な不足等を痛感しました。
約320万人という潜在的な支援対象者がいる中で、実際に回復支援を受けられているのは「ほんの一握り」という現実は、社会全体で取り組むべき重要な課題です。
依存症に対する偏見を解消し、「誰でもなる可能性がある病気」であり「回復可能な病気」であるという理解を広めていかなくてはなりません。
現在の施設数では到底対応しきれない潜在的な支援需要に対応するため、回復支援施設の拡充とともに、家族会等の民間支援団体への支援も重要と考えます。
当事者や家族が必要な支援に早期にアクセスできる環境づくりも求められます。
当事者とその家族の声に耳を傾けながら、予防と適切な支援が受けられる社会の実現に向けて、引き続き取り組んでまいります。

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