大阪府枚方市の教員働き方改革・広島県尾道市の子育てICT化 視察へ行ってきました

教員の長時間労働は、今や社会問題となっています。

 

2022年5月から6月にかけて全国の小中高校などで授業を受け持つ教員を対象に行った労働時間の調査結果(「連合総合生活開発研究所」実施)によると

月当たりの時間外労働は123時間余りで、「過労死ライン」とされる月80時間を大きく超えたとのことです。

 

2019年に政府は「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定し、勤務時間外の労働の目安は、1ヶ月で45時間、1年間で360時間以内とされました。

 

実際には、多くの教員が目安を大幅に超えて勤務時間外の労働をしているということで、

教員の働き方改革を行い、先生方が笑顔で子どもたちと接し、向き合う時間を増やし、本来の教材研究等の時間が十分に取れるように環境改善を行わなくてはなりません。

 

北区議会文教子ども委員会において10月27日・28日に、大阪府枚方市、広島県尾道市へ視察にいって参りましたので、報告します‼️

 


 

❶大阪府枚方市(ひらかた)のチャレンジ

「教職員が元気な学校は、子どもたちも元気な学校」

 

これまでの働き方を見直し、教職員1人1人の心身の健康保持の実現とやりがいを持って勤務することで、子どもたちに対し効果的で充実した教育活動を行うことを目指しています。

 

現場では「これ以上何をするのか?」という雰囲気が漂い、教育委員会でも学力低下を招いたらどうしようという不安もなる中、スローガンを定めて実施。

 

立候補制で推進校を募り、教育委員会と推進校との連絡を密にし、推進校同士が繋がる関係性を築きました。

 

業務の中で時間がかかっていること、学校としてできること、各自が業務改善していることを吸い上げ整理すると共に、17時以降は電話に出ないという思い切った取り組みやICTを駆使した効率化を行っています。

 

◆現状
全市立学校において時間外労働が課題となっているが、ある月において45時間以上の時間外勤務が約50%ほどある中学校もありました。
月80時間以上という過労死ラインの時間数があることも。

 

「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」の時間外労働の目安が45時間以上であり、当該学校では半数以上がそれを超えている結果となりました。

 

教育委員会と現場の意識改革が必要な状況です。

 

◆取組みの具体例

「業務改善推進校」を指定するのではなく手上げ方式で10校を募集。
話し合うことを大切に取り組みを実施。

 

①整理整頓
デスクや棚の書類が散乱している環境をすっきりと

 

②業務のICT化
健康観察や欠席連絡のICT化
→タブレット導入により、健康観察記録用紙の回収時間ゼロ・確認も大幅な時間削減へ
朝の電話連絡件数が減る
時間的・精神的余裕の増加

 

③業務の見直し
推進校の推進リーダーを中心に学校の業務を見直し改善、業務改善研修の実施など。
・会議時間の短縮
・朝礼を止める
・スプレッドシートやグーグルクラスルームの活用
・電話対応を基本17時までに
・業務アシスタントを活用
・学校閉庁日、定時退庁日の徹底 など

 

④会議の改善
ペーパーレス・コンパクト会議へ
会議の目的や定義の確認
朝礼の簡素化 など

 

⑤ストレスチェックの活用
受験するだけでなく、結果を所属長に情報提供し、対処の支援を通じてメンタルヘルス不調となることを未然に防ぐ。
→対人関係のストレス 1.5ポイント改善、同僚からの支援 0.8ポイント改善

 

⑥意識改革
専門コンサルタントによる研修・助言
取り組み好事例の発信
スクラップ&ビルド

 

◆結果
小中学校共に時間外労働を削減!

特に令和2年度の4・5月は、平成30年度と比較し4分の1から6分の1程度にも削減できました。


 

◆広島県尾道市の挑戦

 

尾道市スマート子育て

 

尾道市は人口13万人。
広島県の東南部に位置し、瀬戸内海に隣接し四季を通じて温暖で降水量の少ない気候です。
名物には、尾道ラーメンとレモンがあります。

妊娠期から子育て期まで切れ目ない支援の一助としてICT化を駆使しています。

 

①妊娠・出産期
母子手帳を電子化したアプリ「母子モ」を導入。
予防接種、定期健診結果のグラフ化、子育て支援情報を収集できる。

 

②家庭内保育期
尾道市独自のサイト「キッズWeb尾道」を開発。
オンライン子育て相談で栄養相談や助産師による講座、個別相談も可能。
保育士によるオンラインイベントも実施。

 

ちょっと手が離せない時に、保育士がオンラインで保育を手伝ってくれる細やかなサービス。

 

③就学前・保育期
「コドモン」の導入・キッズノート
保護者との連絡ツール、登降園管理や保育士による日誌作成など。

園児の個別記録も可能。
保護者・保育士両者の負担を軽減し、子どもと向きあう時間を充実させることができる。

 

④学童期:kazasuの導入
放課後児童クラブのタイムカード・退室管理、見守りカメラ。
自動検温などの体調管理や利用・欠席連絡もできる。
なお、全ての放課後こども教室に防犯カメラが設置されている。

 


 

特に、広島大学の教授と共同開発した「キッズWeb尾道」に目を向けると、子育て中の「あったらいいな」を実現するきめ細やかな支援がなされています。

 

例えば、夕飯の支度時など「ちょっと手が離せない」時に、テレビ見せっぱなしにしてしまい罪悪感を抱いたり、テレワークの時に育児に困ったり。。。
そんな時、キッズWeb尾道では、保育士らがオンラインで子育て支援をしてくれます。

手遊び、歌、時にはクッキングまで子どもの特性・成長に合わせた対応をしてくれる事業です。

 

事前予約制かつ子どもの集中力に合わせて15分程度の実施時間ではありますが、保護者からの相談も対応する大変助かる支援で、利用も数多いのだそうです。

 

北区では、きたハピモバイルのアプリが存在しますが、活用がうまくできていない方も多いと感じています。。
また、主に私立保育園でコドモンが導入されていますが、直営園では導入されていません。

 

私含め議会からも要望が出ていますが、検討していただき、妊娠期から学童期まで便利なICTを用いて効率的に支援することで、保育士・教員と保護者が子どもたちと向き合う時間を捻出できるようにしていきただきたいと思います。

最後になりますが共通して言えることは、枚方・尾道、どちらの自治体も、アツイ気持ちを持った職員の方が熱心に取り組んでいるということです。
二つの自治体から刺激を受け、行政の方々と共に、取り組んでまいります。

 

(尾道市の商店街が素敵すぎたので写真を添付します)

 

 

 

 

--------------------------------------------------------------------------------------------

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

にほんブログ村に参加中です。もしよろしければクリックして応援お願いします。

にほんブログ村 政治ブログ 政治家(市区町村)へ
にほんブログ村